はじめに
こんにちは、サイカDevHRの柏木(@rincho_1102)と申します。
このブログでは、サイカ開発組織の「インナーコミュニケーション」について、取り組みの全体感をご紹介できればと思います。
同様の取り組みをしている方の参考になったり、議論のきっかけとして役立てば幸いです。
サイカのDevHR
DevHRとは
DevHR=Developer's HRの略で、一般的には開発職特化型の人事組織を指します。
サイカの中ではプロダクト開発を行う「開発本部」に所属しており、主に3つの活動を行なっています。
採用だけではなく、組織開発や運用、文化形成・広報活動まで開発組織の運営全体に関わり、中長期計画を立てて専任であたっているチームというのが特徴かもしれません。
目指す姿
私たちのミッションは、サイカ開発組織のモノづくりビジョン「Refine your choice and make it the Best」を体現する組織をつくることです。
モノづくりに携わる人材が、失敗を恐れず自らの意思決定を最善にするために何度も何度も挑み・成長し続けるための環境づくりを目指し、自らも一度の取り組みで満足するのではなく、継続して磨き上げていくことを大事にしたいと考えています。
モノづくりビジョンについては本ブログの別記事で CTO 天野が詳しくご紹介していますのでぜひそちらもご覧ください。
このビジョンの実現に向けて私たちの役割は、稲作に例えると毎年良いお米を作り続けられるための田んぼづくり(土づくりが命!)を担っていくイメージになります。
DevHRとインナーコミュニケーション
前置きが長くなってしまいましたが、本題に入りたいと思います。
インナーコミュニケーションは、DevHRの役割3つのなかでいうと、HRBPとDevRelに跨る取り組みです。
取り組みの経緯
開発組織付の人事というと、比較的採用や社外広報への取り組みのイメージが強いと思いますが、私の前任者の時から、サイカDevHRはインナーコミュニケーションに積極的に取り組み、投資をしてきました。
以前の取り組みのご紹介記事はリンクをご参照ください。
これらの取り組みの中で、特にインナーコミュニケーションに注力した背景には、当時の開発組織を取り巻く大きく2つの状況がありました。
- 2020年の新型コロナウイルス流行以降の入社者が大半であった
- 開発組織内の職種が多岐にわたり、業務委託・副業など働き方もさまざまであった
これらの理由から、働き方やコミュニケーションスタイルの多様性に寄り添いながらも、リモート環境下で高い心理的安全性を実現できるコミュニケーションの在り方を模索してきました。
具体的にやってきたこと
主に重点を置いたテーマが「フルリモート環境での意識統一に向けたコミュニケーション機会の創出」というところです。
施策の特徴としては、オンラインで直接顔を合わせる機会がない中でも
- 同じチームのメンバーであると意識を持つことができること
- 壁にぶつかった時にすぐに助け合えるための相互理解が進められること
を成立させるための施策を企画、実施、運用しています。
突飛なものがあるわけではありませんが、比較的定着してきたと感じる施策を2つほどご紹介します。
社内ラジオ
2021年11月から開発組織独自で社内ラジオを運営しており、毎週木曜日60分、これまでに60回ほど(2023年5月現在)の放送を行なってきました。
DevHRがホスト役となって毎週1-2名のゲストをお迎えし、ゲストの活動紹介やこれまでのキャリアからプライベートの趣味まで幅広く取り上げています。視聴者はslackのチャンネルでリアクションしながらリアルタイムで楽しむこともできますし、聞き逃してしまっても社内ポータルに掲載しているアーカイブ配信を聴くことができるようになっています。
配信方法からロゴ、番組の進行までフルスクラッチで立ち上げ、試行錯誤を重ねて今の形に至っているため、DevHRとしても非常に思い入れのある施策です。
先日サイカ全社でも社内ラジオが開始され、開発組織で行なった実験的な取り組みが全者に展開されるという象徴的な取り組みとなりました。
TGIF(月次定例)とオンラインアフターパーティ
メンバーひとりひとりが開発組織全体の状況を把握し、次のアクションを考えていくための情報共有の場として、月1回開発組織全体の定例MTGを実施しています(Googleからお名前を借りてTGIFという名称になっています)。
コンテンツとしてはアイスブレイクから始まり、各部署からのTOPICS共有、業務で得た学びの共有と多岐に渡ります。
意識していたのはオンラインでありがちな「聞きっぱなし」状態にならないよう、話し手以外も主体的に参加しやすいようにすることです。中でも比較的機能しているのはslackの活用です。個々人の「今週のドヤ」をアイスブレイクとして投稿してもらったり、発表中もリアルタイムチャットや質問募集として使ったり、大人数のMTGで発言することのハードルを下げ、双方向のコミュニケーションをつくることに非常に役立ちました。
また、現在は少し運用を変えていますが、オンライン上での有志アフターパーティも実施していました。ある時はゲーム、ある時はクイズ大会、ある時は会社の事業にちなんで好きなテレビCMの紹介…などなどさまざまなコンテンツを試しました。
特にゲームは本当にその人のカラーや性格が出るので、より深くお互いを知ることに少なからず役立っていたと思います(数字系や推測系のゲームでのエンジニア陣の強さや慎重さは特に印象に残っています)。
その他、
- 社内番組(自己紹介動画)の作成
- メンバーの相互理解のための定期ワークショップ
- 趣味/アクティビティチャンネルの普及
等にも取り組んでおり、フルリモートでの接点最大化を模索し続けたコロナ禍約2年間でした。
実感できた効果とは
「実際どのような効果があるのか?」
ここは、コミュニケーション施策を考える者として誰もが気になるところだと思いますので、私たちが現状感じている効果について、メンバーからのフィードバックをご紹介します。
普段一緒に働いていないメンバーとのコラボレーションがスムーズになる
「リリース時の対応で、急遽普段仕事を共にしていないAさんとBさんが話すタイミングがあったが、実はTGIFのアイスブレイクで共通の話題で盛り上がったことがあった」
マネジメントや経営陣との距離が近くなる
「自分のプロジェクトでプロダクト開発チームとCROが連携することになったが、チームメンバーとCROがTGIFパーティで関わりがあったので、話を進めやすかった」
「最近CさんがCTOとガンガンコミュニケーション取って作業しているが、ワーケーションで一緒だったりした経験は効いてそう」
このように、主に普段は距離感が遠くなりがちなメンバーとのコミュニケーションハードルが下がり、いざ連携する際のスピード感がかなり変わってくるようです。
スピードは開発の成果にも直結するので、インパクトは一定ありそうです。
続けることの難しさと大切さ
正直に言うと、すべてがうまく行った/うまく行っている訳ではありませんし、コンテンツへの導線設計や施策の効果測定やKPI設定についてはまだまだ課題が山積です。しかしながら、1年半以上施策に携わってきて強く感じることは、「続けることの難しさと大切さ」です。
同じ施策でも、1度限り行うのと、組織の習慣・文化として中長期で続けていく施策とでは目指すゴールも難易度も全く違うと感じました。
コンテンツを提供する側/される側双方にとって持続可能な仕組みとなっているか?
これからもこの辺りを大切にチャレンジしていきます。
これからの課題と挑戦
サイカは、3月のオフィス移転を機に、これまでのフルリモート体制からオフライン・リモートを組み合わせたハイブリッドな働き方を推奨する方向に舵を切りました。
この流れの中で、私たちもこれまでの
「フルリモート環境での繋がりをつくるコミュニケーション機会の創出」
というテーマから、
「ハイブリッドワーク起因の情報格差や障壁を防ぐコミュニケーションの確立」
へとシフトしており、ハイブリッドでパフォーマンスを発揮できる環境作りに施策の改善や運用に取り組んでいきたいと思います。
最後に
次回のDevHRの記事では、これまでの取り組みの振り返りとして、社内ラジオについてより具体的にどのように作っていき、定着していったかをご紹介します。
相互理解の施策に課題を感じてる方、配信をやってみたが定着させることに苦労をした方、何をテーマに伝えていけば良いかを毎回企画する上で苦労している方などに、私たちがあたった課題や、その改善方法などをご紹介し、情報交換のきっかけや一助となれればと思っています。