Salesforceで名刺管理機能を実装してみた - XICA Tech blog

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株式会社サイカの開発本部が提供する技術ブログです。データサイエンスに関する取り組みや日々の開発のナレッジをお送りします。

Salesforceで名刺管理機能を実装してみた

はじめに

こんにちは、サイカでCorporate Engineerをしております粟野です。

「Corporate Engineer」というと何をやってるかパッとイメージしにくいかもしれませんが、まずはいわゆる「情シス」を思い浮かべていただけるとわかりやすいかなと思います。(セキュリティとか社内アカウントの管理とか)
それに加えて「ITやEngineeringの力で全社の困りごとや課題解決するマン」としての役割も担っている攻撃力高めの組織、それがサイカのCorporate Engineeringチームです。

今回はそんなCorporate Engineeringの取り組みの一貫として「Salesforceで名刺データを管理できるやつ」を営業・マーケティングの現場向けに作ったので、 同じようなことをしようとしている方に向けてやったことや具体設計をお届けできればと思います。ぜひお付き合いいただけると嬉しいです。

なぜそうなったのか?

そもそも今まではどうやって名刺管理してたんだと思われるかもしれませんが、元々は名刺管理ツールのSansanを入れており、それを会社事情により解約する必要がありました。

話としてはSansan解約が先にあったのですが、もともとSansanとSalesforceを連携して使っていたので、
Salesforceに直接名刺データ入れられたら色々楽なんじゃ?現場でよく使ってるし」
という思いが、この取り組みの始まりでした。

やったこと

其の一:Sansanユーザーへヒアリングして要件定義した

Sansanを使っている人に、Salesforceに機能移管するにあたってどんな機能があればいいか?どの項目が必要か?をヒアリングしてシステムの要件を決めていきました。すごく当たり前のことを言っている気がしますが、大事なことだと思います。

ヒアリングする方法はいくつかあると思いますが、Sansanをよく使っている人にエイヤで直接聞いてみることにしました。

其の二:設計した

こちら

Salesforceの設計
このような形で公開することは毛ほども想定していないので、お見苦しいのはご勘弁ください。
私はMiroというオンラインホワイトボードツール的なやつで作りましたが、パワポでもGoogleスライドでも、はたまたExcelでも、楽に図がかけるものであれば何でもいいと思います。

せっかくSalesforceで実装するからには今までより便利になーれ、という思いを込めて設計しました。
名刺データを作成した時に、該当する取引先と取引先責任者に勝手に紐づいたり、名刺データを作ったら勝手にリードもできたらいいな、と鼻歌交じりで妄想していました。

其の三:実装した

設計を元に実際にSalesforce上で実装していきます。
やったことはこんな感じ↓

  1. 名刺を入れるカスタムオブジェクトを作ったよ
  2. 必要な項目を作ったよ
  3. 名刺作ったあとの連携を自動化させるフローを作ったよ

工夫ポイントは、他のオブジェクトと関連付けをもたせたことと、丁寧にフローを用意したことくらいです。
実際に組んだフローはこんな感じ。

名刺レコードが作成されたら、対応する取引先/取引先責任者を抽出して紐付けるフロー

名刺レコード作成後の自動化フロー
名刺レコードを作成したら、会社名、氏名、メールアドレスから合致する取引先/取引先責任者を取得して、名刺レコードの参照関係項目に入力するフロー。

画像をよく見るとわかりますが、途中でリードも作成できるようにしています。
ただ、リードを作成するかどうかは任意でコントロールできるようにしたかったので「リード作成」というフラグ項目を作って、その値によって条件分岐させています。

取引先/取引先責任者が紐づいていない名刺をチェックして、対応する取引先/取引先責任者を紐付けるバッチフロー

日々名刺レコードの不備を監視するフロー
他のレコードトリガーフローの実行が失敗した場合の受け皿的なフロー。
実行頻度は一日一回。

取引先レコードが作成されたら、対応する名刺を抽出して紐づけるフロー

取引先を作成したら名刺レコードを紐づけるフロー
名刺と取引先を作る順番が逆でも対応できるよ

取引先責任者レコードが作成されたら、対応する名刺を抽出して紐づけるフロー

取引先責任者を作成したら名刺レコードを紐づけるフロー
名刺と取引先責任者を作る順番が逆でも対応できるよ

あとは大量の名刺レコードを一括作成できるように、ユーザー向けにバルクインポート用のスプレッドシートを作りました。

名刺一括作成シート
やったことはシンプルで、Salesforceスプレッドシートを「Salesforce Connector」というアドオンで連携して、ユーザーが一括で名刺データを作成できるようにしています。
この時、なるべくデータの重複とか入力不備が起きないようにスプレッドシート側にある程度入力の制限を設けています。これが後々のメンテナンス負荷軽減に寄与すると信じて。。

できるようになったこと

当たり前ですが、Salesforce上で名刺レコードを見られるようになりました。当たり前ですが。

隠しすぎて意味のない画像1
しかし侮るなかれ。Salesforceにレコードがあるということは、Salesforce上でレポート作成できるということ。Salesforceのレポート機能も少しクセはあるものの、細かくフィルタをかけられたり他のテーブルと結合できたりと、できることが多いので、そのあたりはSansanでのレポート機能よりも便利になったかなと思います。
隠しすぎて意味のない画像2

あとは上でも書いてますが、勝手に他のオブジェクトに紐づくようになったことは普通に便利です。取引先責任者見に行ったら、過去にいつ誰が何回名刺交換したかがぱっとわかるようになったので、反復横跳びのごとくSansanとSalesforceを行ったり来たりしなくてよくなりました。いいですね。

個人的な推しポイントとしては、名刺レコードを作ったときにリードを作成するかどうかをユーザーが選べるようにしたことです。謎のリードが一気にたくさん作られたら困ってしまう人もいるでしょう。

現場ファーストの精神

現場での運用がしっかり回るように、細部にはなるべく気を遣いました。
というのもSansanは社内でもたくさんの人に使われていましたし、他のツールに乗り換えるとなると、その影響たるや、考えるのをやめたくなる程でした。

なのでとにかく慎重に、ユーザー目線で。を意識した取り組みでした。
今回は事前にユーザーの要望をしっかりヒアリングできていたので、欲しかったものは提供できているのではないかなと自負しています。

また入力用のスプレッドシートに入力制限を設けて、データの入力不備が起こりにくい設計にしたりと、ユーザーが現場でごりごり使っても大丈夫な設計になるように願いを込めました。マニュアルもしっかりめに作りました。

実際のマニュアル

あとこれは裏技的な話になってしまいますが、私がもともと名刺情報を活用する部署にいたので、ある程度現場での運用を把握できていたことが大きかったかなと思います。現場と目線合わせすることの大事さを再認識しました。

さいごに

実際に現場へリリース後、どうやら普通に使われていて運用も回っているようなので、今のところ結果は上々と言って良いのではないでしょうか。こういうの、使ってくれていると嬉しいですよね。

ただ格好つけて書いてきましたが、正直に言うとSansanを使っていた頃の体験に及んでいない部分もあります。手軽に名刺データ入力できない問題とか。
なので今後もユーザーファースト、現場ファーストで改善を続けていきたいと思っています。

いつか「やっぱりSansanに戻そう」と誰かに言われないことを願って。

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